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バカにできないレンダリング
「作図」「モデリング」「レンダリング」「タッチアップ」の手順でいう、
レンダリングです。CG中級者でも、レンダリングはボタンを押すだけと思っている人も多いと思います。
レンダリングは、実はそんな簡単なものではありません。
もっと奥が深く、繊細なものがレンダリングなのです。
これがCGの全体を左右させるといっても過言ではありません。
ここでは、シーンを完成させるために必要なコツを紹介しましょう!
マテリアルの設定
まずは、マテリアルの設定からします。
理由は、マテリアルを割り当てない状態でレンダリングすると、
色が原色でレンダリングされるため、あまりよくありません。
太陽たカメラよりも先にマテリアルを設定しましょう。
マテリアルがまだ決まってない場合は、とりあえず全部白を入れて構いません。
ただ、白を入れる場合は、真っ白ではなく、ほんの少しだけ灰色にするのがコツです。
カメラと太陽の設定
次にカメラと太陽を設定します。カメラと太陽はセットです!
カメラあるところに太陽ありです。しかし、夜やインテリアのシーンは例外です。
太陽の設定では、主に太陽の光の強さや、太陽の大きさ(影のぼかし具合)を設定します。
カメラの設定では、画角、シャッタースピード、F値、ISO、垂直だし等を設定します。
今回は、ご説明はできませんが、今後の記事でフォーカスしていきます。
参考事例を探す
ほとんどの人があまりしませんが、参考イメージを探すことは非常に重要です。
完成イメージなしに、CGを作ることはできません。
作っている本人が完成イメージをあらかじめしておかないと、着地地点がわからなくなります。
まずは、ネットで参考イメージを探しましょう。海外のものは非常のすばらしいクオリティーです。
「このクオリティーは無理だ。。。」と思わず、最高の一枚を選びましょう。
そこから学ぶことはすごく多いですし、目標があると、自分の道が見えやすいです。
筆者は「MIR」という海外のCG会社が好きです。
マテリアルは納得いくまで調整
先日、マテリアルの作成に3~4時間程度時間をかけていました。
すると、後輩から「そんなにマテリアルに時間をかけることができない」と言われました。
確かに、そうかもしれません。私も時間をかけすぎと思いましたが、逆に考えれば、
これさえ一度しっかり作ってしまえば、一生使えるので、やはり時間をかけるべきだと思いました。
マテリアルの作成は種類によってはすごく時間がかかります。
今回、豊田市美術館でライムグリーンの石のラミナムを作成しましたが、
2時間程度時間がかかりました。でも、それを一度作ってしまえば、今後一生使えます。
ここで少し手を抜けば、今回限りでしか使えないマテリアルになったかもしれません。
それを考えれば、しっかり作ることは非常に大切です。
テストレンダーはA5~A3サイズ
テストレンダリングでは、かなり小さめのサイズで検討します。
筆者は大体A5サイズでまずは全体のイメージをつかみます。
そこからテストレンダリングでもA4やA3にサイズを上げていき、
最終的にはA1でレンダリングします。
そして、テストレンダリングは極力保存しましょう。
経過が非常に大切で、どのように変化していくかを確認することも大切です。
複数のアングル出し
アングルは、センス4割技術6割ぐらいだと筆者は思っています。
そして、アングルは非常に繊細です。
筆者は例外を除いて、アングルで確実にすることがあります。
一つは、シンメトリーを狙うです。
シンメトリーの建築は、アングル的には非常に美しく、きれいに見えます。
シンメトリーのアングルはぜひとも狙いに行きましょう。
二つ目は、垂直です。カメラ設定では見上以外は必ず垂直です。
これは、建築CGパースを作る際の基本です。
筆者はそれを知らずに、最初は垂直は気にしていませんでした。
垂直を出すと、メリットが多くあります。タッチアップも非常にしやすくなったり、
画像を入れる際の目安の基準ができたり、CGがダイナミックになったりします。
ぜひともやってみましょう。
レンダリングは、少し暗めにする
レンダリング画像は、少し暗めにすることをお勧めします。
なぜなら、暗い画像を明るくするのは簡単ですが、
明るい画像を暗くするのは少し難しいからです。
また、最初から画像が明るいと、全体的に濃淡が薄いので、
基本的に少し暗めにすることをお勧めします。
本番レンダリング
最終、すべての調整が終わったら、本番レンダリングをします。
筆者がおすすめしているのはPSDmanagerというソフトウェアです。
PSDmanagerはレンダリングし終わった画像のマスクが取れるソフトウェアです。
これで劇的にタッチアップが楽になります。
高価ではないので、3dsmaxでvrayを使用している方はぜひおすすめします。
少し面倒ですが、レンダーエレメントからもマスクが取れる機能(ちょっと不便です)があるので、
そちらも活用するとよいでしょう。
豊田市美術館では、下記のイメージが筆者の本番レンダリングです。
これから、この画像を元にタッチアップしていきます。(図-1、2、3)
タッチアップって何
いきなり、「この画像をタッチアップしてください」と言われたら、困りませんか?
どのようにタッチアップをすればよいかわかりませんよね。
そういうときに、先ほど紹介した事例を参考にするとよいでしょう。
あとは、「コンセプト」をしっかり理解して、そこを強調させるような
CG作りを目指すと、インパクトのあるCGになります。
今回で言うと、光壁、水盤、グリーンウォール、空がテーマになると思います。
そこを際立たせるようなCGのタッチアップをしていきます。
まずは全体の印象が大事=空
タッチアップはどこからしていくかというと、まずは全体をつかみます。
それは、全体のカラーバランスと空を設定します。
空は印象を決定ずける大事な要素です。筆者も空には力を入れています。
レンダリングですでに入っている空もありますが、より印象的にするには、
タッチアップでもっと良い空を選ぶ必要があります。
「CGでもともと入れたたらいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、
CGで入れる空はある程度絞られます。完成イメージに近い空を選んで、
タッチアップで完璧な空を入れるのが一番良い方法だと思います。
空を入れる際も、一つだけで完成する場合もありますが、
複数の空を組み合わせる場合もあります。
また、全体のカラーバランスを調整します。
まずは、フォトショップで「明るさ調整」と「レンズフィルター」を入れましょう。
これで全体的な明るさを色を調整します。
全体を調整した後は、「効果」を加える
「効果」は、煙や虹や飛行機や鳥等、レンダリングでは入れない要素を
フォトショップで入れていきます。
今回は、夜のシーンで煙だけ入れました。
この「効果」はCGのインパクトを増幅させます。
全体的なイメージと合うような効果を選定しましょう。
個々に調整していく
全体の雰囲気、効果を加えたら、個々を調整していきます。
個々とは、マテリアルやオブジェクト事に調整していきます。
例えば、光壁をもっと白を強調したり、グリーンウォールを
もう少しトーンを抑えたりします。
なぜ個々から先に調整しないかというと、個々を調整した後、
全体を調整すると、また個々の設定が変わってしまうからです。
全体→詳細の順番でタッチアップしていきましょう。
光の調整
CGを作る際に、注意すべき点は、全体が明るくならないことです。
白と黒の濃淡をつけると、メリハリのあるCGができます。
単純に「暗いから」といって、全部を明るくしないようにしましょう。
光の調整はいくつかありますが、「オーバーレイ」や「スクリーン」といった
フォトショップで効果を加えます。また、光の強さは基本的に「レベル補正」で調整します。
人は蔑ろにしない
CGパースで人を入れない人もいます。
筆者も昔は人を入れたくない側でしたが、ある時気づきました。
「人を入れないとスケール感がわからない」と気づきました。
人は建物をスケールするための物差しです。
最低一人は入れましょう。
また、人を入れる際は本当に慎重に入れましょう。
特に「光の当たり方」と「人のアングル」は必ず確認しましょう。
そういう人の素材が見つかるまでは、人は置きません。
筆者はフォトショップで人置きが一番苦手です。
それは、そのCGに合う人がいないからです。
光の当たり方や、歩いている人や後ろを向いている人、座っている人等、
すべての条件が揃わないと人を置けないからです。
毎回、奇跡的に一人は見つかるので、筆者はよく人は一人が多いです。
でも、絶対に一人は入れます。
本番レンダリングとタッチアップの比較
本番レンダリングとタッチアップ後を比較してみましょう。(図-4~6)
まとめ
いかがでしょうか。
レンダリングからタッチアップまでのコツを説明しました。
詳細はまたこのブログを通してお伝えしていきます。
最近、後輩に「マテリアル作成に時間をかけているが、自分にはできない」といわれました。
そして、マテリアル作りに時間をかけず、すぐにレンダリングしていました。
それでも筆者より時短になると思いますが、手の抜き方は間違っていると思います。
CGは手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。しかし、どこで手を抜くかは、
「一度、本気を出して作ってみる」をしないとわからないと思います。
マテリアルを作るのに2~3時間かけて真剣に作ったことがあるからこそ、
クオリティを下げない手を抜けるところがわかります。
これから建築CGパースを作る人も、今まで作ってきた人も、
一度、本気を出してCGパースを作ってみてください。
マテリアルを作るのに数時間かけたり、
レンダリングをするのに一日かけたり、
人の配置に一日かけたり、
一回本気を出すと、自分の限界も知ることができますよ。
今後も、このブログをよろしくお願いします。