目次
豊田市美術館を通してCGを学ぶ
今回は、筆者が作成したCGパースを紹介しましょう。
建築家 谷口吉生作品の「豊田市美術館」です。
残念ながら、筆者は言ったことがないので、一度訪れたい建築の一つです。
谷口さんらしい水盤と大胆でシンプルなボリュームで構成されていて
素晴らしい建築です。筆者もこれを作っているときは、割り付けが非常に大変でした。
さすが、谷口建築です。
今回は、こちらをCGで作ってみたいと思います。
CGの観点から申しますと、「もってこい」です。
水に映る建築のアングルは非常にインパクトがあり、効果的に演出できます。
これを、CGで表現できるかが今回のミソです。
他にも、筆者が意識したことが多々ありますので、
そちらも含めて参考にしていただけたらと思います。
ソフトの使い方ではなく、どちらかというとコツですね。
CGパースを作る際にどのようなところに意識を向けるべきか、
考察していきましょう。
物は試し
筆者は、現在の会社に勤めて5年経ちます。
もちろん、後輩もいるのですが、実はあまり教えません。
「冷たい!!」と思うかもしれませんが、CGをずっとしていると
思う言葉があります。それは「物は試し」です。
CGを教えてももちろん良いのですが、CGは実際にやってみないと
分からないことが多々あります。実際にやらないと覚えません。
筆者も必死でyoutubeにあるチュートリアルや、疑問に思っていること
試したとこを記録したりと、実際にたくさんやってきました。
それを通して分かったことは、やってみないとなにもわからないことです。
実際に、後輩に使ったことのない技術を教えても、深く理解してくれませんでした。
それは、「実際にやっていない」からです。
CGは実際にやってみないとわからないことだらけです。
なので、筆者は5年CGを作り続けてもなお、作品を作り続けています。
徹底的にCGを作ってみましょう!
モデリングを楽する作図のコツ!
まずは、図面から書く!
まずは、図面から書きます!当たり前すぎますよね。。。
図面を書く際は、モデリングすることを想定して書きます。
筆者は、最低でも各階平面図、立面図2面(余裕があれば断面)を
モデリング前に絶対に書きます。これは、必須です。
なぜなら、図面を書けば書くほど、モデリングが早くなるからです。
モデリングよりも図面を書く時間の方がかかります。
しかし、モデリングは図面を書いていれば、実は案外早く終わります。
トータルで言うと、図面をちゃんと書いた方が時間短縮になります。
では、モデリングを考慮した図面の書き方をご紹介しましょう。
絶対にポリラン
まずは、以前、に記事でも紹介しましたが、線の種類です。
ポリラインで書きます。これは、モデリングを非常に簡単につくることができます。
柱が四角だった場合は、四辺線分で各のではなく、閉じたポリラインで書きます。
これは、後々にモデリングをする時にソリッドにできるからです。
さらに「閉じた」ポリラインが重要です。閉じられていなければ、サーフェスになるので、
要注意です。
割り付けを考えながら作図をする
割り付けを考えながら作図をするのは、非常に難しいと思います。
筆者もなれるまでは時間ががかかりましたが、
CGを長年やっていると身に着きます。
例えば、タイルが300角を想定していれば、300ピッチで割り切れる数値にします。
そうすれば、役物(半端物)がなくなるので、CGが綺麗に見えます。
豊田市美術館でも考えながら作業しましたが、谷口さんの作品だと難しすぎました。
手摺のピッチや床タイル、サッシの割り付け位置なども考慮します。
実際に考えながらやってみると、難しいですが、完成すると楽しい思い出になります。
「物は試し」でず、実際にやってみましょう!
図面の書く位置=モデリングの位置 も大事!
モデリングをする位置も大事です。
原点に極力近い位置に作図しましょう!
3dsmaxで読み込むと、原点から離れすぎているとエラーが発生しやすくなります。
シンメトリーの建築だと、センターが原点になるようにすれば、非常に楽です。
基本的にサーフェスは禁止ですが、自由曲面と特殊物は例外!
モデリングを早く正確簡単にするコツ!
作図した立面図は、起こそう!
作図した立面図は、平面上で使うのではなく、いったん起こします!
そして、平面図の位置に合うように、起こした立面図を持ってきます。
そうすれば、ミスしているところや、複雑な部分等を簡単に発見でき、
立面図からモデリングをすれば簡単にモデリングが終わります。(図1)
モデリングをするときは、画面4つ使おう!
モデリングをするときに画面の設定が1画面か分割された画面で行うかを設定します。
作図の時は、1画面で十分ですが、モデリングは立体になるので、
平面以外に側面やアクソメで確認する必要があります。
一般的に4画面で行うのが通常ですが、1画面で行う人もたまに見かけます。
1画面で行う場合は、側面やアクソメ等のアングルを変えながらモデリングしていきます。
4画面で行う場合は、図-2のようにして作業していきます。
2画面や3画面で行う人もいますので、自分の合う方法でやりましょう!
ガラスと水はイレギュラーなので要注意!
モデリングでは、メタルタッチが厳禁な場合があります。
(メタルタッチ:オブジェクトとオブジェクトがぴったりくっついている面のことで、
離れたり、食い込んだりしていないこと)
それは、水とガラスです。水やガラスはCGでは屈折を伴っているので、メタルタッチになっていると
エラーが起こりやすくなります。それを防ぐために、わざと水のボリュームを食い込ませたり、離したりします。(図-3)
レイヤーは同じマテリアル毎、同じ部材事に分ける!
複雑な建物ほど、マテリアルの種類が多くなります。
基本的には、壁や床等の部材と、石や木などの素材に分けましょう。
筆者は例えば「M_roof_metal_black」と表記します。
M=モデリング
roof=部材
metal=素材
black=素材の色
のおおよそ4つの項目で分けます。(図-4)
Mは、MLならランドスケープやMBで別の案で使うモデリング等
分け方は様々です。上記の方法を基準として、自分で一度やってみましょう!
面倒な目地は線で代用可能!
豊田市美術館もそうですが、目地がかなりめんどくさかったりします。
マテリアルでつける場合と、モデリングでつける場合の2種類ありますが、
どちらも善しあしがあり、一概にどちらがいいとは言えません。
ただ、ガラスやサッシの割り付けは「線」、石はマテリアルで行うと
効率的だと筆者は感じています。
今回もその方法で行いました。しかし、近景で目地が見えてきたりする場合は、
目地をモデリングする必要があるでしょう。
目地を「線」で書いて、maxで厚みを与えれば、目地になりますが、
目地は基本的にへっこんでいる為、近景では使えません。
遠景で目地が見える場合は、問題ありません。
これも早くモデリングを終わらすコツです!
実際にチャレンジしてください!
ちなみに、豊田市美術館の光壁の目地は縦目地はライン、横目地は少し分厚いので、モデリングで作りました!
まとめ
作図からモデリングまでのコツをまとめました。
まだまだ全部は紹介しきれないのですが、
これらを実践すればモデリングは早くなるはず!!
筆者もこれを毎回実践していて、いつも思っている時間よりも早くモデリングが終わります。
一日かかりそうと思っていたものが2時間で終わったりというのは結構あります。
作図に時間を書ければ、モデリングは早く終わり、結果的に時短になります。
「物は試し」をぜひ実践して、自分で学びに気づいてもらえれば、
筆者がこのブログを作ったかいがあったということです。
次は、レンダリングからタッチアップのコツを紹介していきます。