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Vray Mtlのrefract
refractは屈折という意味です。
今回はVray Mtlの中にあるrefract(屈折)について解説していきたいと思います。
refractの意味は屈折ですが、透明性も含んだ意味として捉えてください。
実際にはIORという数値を入力することで屈折の変化量を調整します。
よく混同しがちなのは、refractとreflectと誤解する人がたまにいます。
refractは水やガラスなど透過物質の屈折のことで、reflectは物体の反射のことです。
それから、もう一つ誤解を生む用語があるのですが、
以前、「Vray Mtlの使い方 -reflect / fresnel IOR編- part2」の中でfresnel IORについてお話しました。
今回のrefractでもIORが出てきますが、両者は全く異なる性質を持ちます。
「fresnel IOR」と「(refractの)IOR」は全く異なることをしっかりと理解してください。
それでは実際にVray Mtlのrefractを見ていきましょう。
refractの機能
まずは、図-1をご覧ください。
Refractの数値を調整するマテリアルは概ね決まっています。
「ガラス」と「水」です。ほかにもありますが、建築で言えば、概ねこの2つです。
なので、逆を言えば、ガラスと水は絶対にRefractを使うということです。
図-1の内容の各番号に沿って解説していきます。
①Refract
このRefractは透明性を表します。
調整方法は色の白~黒(無色)で調整します。
白が透明で黒が不透明です。
なので、ガラスなどの透明な素材はほぼ白になります。
②Glossiness
glossinessは透明性にぼかしをかける機能です。
素材で言うと、乳白がすりガラスなどが該当します。
調整は0~1の数値で行い、1はクリアで0が不透明です。
例えば、数値を0.8にすると、うっすら見えるけど、はっきり見えないガラスになります。
③IOR
IORは屈折率です。
水の屈折率は1.33で、ガラスは1.5程度と言われています。
建築CGの場合は、物理的に正しいほうが良いですが、
IORを調整してガラスで屈折しないようにすることもあります。(見た目の問題です。)
実際にIOR=1.0(空気)と、IOR=1.52の違いを見てみましょう。(図-2)
図-2では、IOR=1とIOR=1.52を比較しています。
左は空気の状態です。右はガラスの屈折が入っています。
チューブ背面のコンクリートの部分で屈折度合いがわかるかと思います。
④Abbe number
Abbe number(アッベ数)は、光がガラスに入って屈折した際に
三原色が屈折してクリスタルのように虹色の反射ができるようになります。
クリスタルやダイアモンドを作成する際に使用します。
建築分野ではあまり使用することはありません。
⑤Max depth
max depthは、屈折の正確性を表します。
デフォルトは5ですが、数値を大きくすれば、精度の良い屈折になります。
建築CGでは、デフォルトのままで基本的には十分です。
よく、私の後輩がここの数値を1でやっているので、ものすごく変になるので、
やめていただきたい(図-3)
先ほどもお伝えしましたが、max depthは屈折の正確性です。
たとえで言うならば、maxで球を作ったときにセグメントを4にしたら立方体になるのですが、
max depthはこれと同義で、セグメントの数と似ています。
セグメントが大きい数値であれば、球の精度はよくなりますが、小さければカクツキます。
max depthも同じで1だとカクツキますが、5にすると滑らかになります。
さらに数値を上げるともっとなめらかになりますが、レンダリング時間が増えます。
⑥Affect shadows
Affect shadowsは、疑似コースティクスです。
コースティクスを使用する際は、通常、Vrayの設定から行いますが、
レンダリングが長くなるので、
必要な際は、このAffect shadowsを使用して疑似コースティクスを作ります。
筆者は、この機能は使ったり使わなかったり状況に応じて使用します。
使い方は別記事でご紹介します。
⑦Affect channels
Affect channelsは、筆者は実は使ったことがありません。
チャンネル(赤や青や緑のやつ)に透明性の効果を加えるかどうかの選択をします。
⑧thin-walled
thin-walledは、シャボン玉や幕(透明性のあるもの)などで使用します。
また別の記事で解説しますが、サーフェスにガラスを割り当てるとエラーになります。
サーフェスには厚みがないので、屈折するガラスが屈折しなくなるからです。
なので、厚みのないもの(薄い膜やシャボン玉など)に透明性を使う場合に
この機能を使用します。(建築ではほぼ使用しません。)
ガラスや水のマテリアルの設定
建築でよく使用するrefractを使ったマテリアルはガラスか水です。
今回はガラスの設定方法を紹介しましょう。
ガラスを作る際の設定は、reflectとrefractだけです。
reflectの設定を知りたい方は「Vray Mtlの使い方 -reflect / fresnel IOR編- part2」と
「Vray Mtlの使い方 part1」をご覧ください。
実際のガラスの設定を見ていきましょう。(図-3)
まずは、diffuseです。
こちらは、refractを完全に白にすれば、色を何色にしても色はありません。
ただし、refractを少しでも黒の色を入れると、透明性が薄くなるので、
黒を入れた分だけdiffuseの色が加わります。(黒にすればもちろん透明性もなくなります。)
次にreflectです。
reflectはほぼ白にします。
好みに応じてglossinessも0.95~1の間で設定します。
(reflectの意味は上記リンク記事を参照してください)
次はrefractです。
diffuseのところで説明した通りです。
完全に白でも問題はありません。
※ガラスに色を加える方法は基本的にはdiffuseではありません。
そして、最後にIORです。
先ほど説明した通り、1.5程度で設定しますが、
以上がガラスの設定方法になります。
これを理解しておけば、思い通りのガラスが作れるはずです。
水の表現は基本的にガラスと同じです。
ただし、ガラスに凹凸をつけて水の表現をしていくのですが、
水はかなり難しい内容になり、IORの設定だけで済む話ではなくなるので、
また別記事で書きます。
まとめ
いかがでしょうか。
今回はrefractについて解説しました。
全体的な解説になりましたが、
掘り下げればもっと話さなければならないことはたくさんあります。
マテリアルの理解は底なしに深いです。
いろんな要素が混ざって一つのマテリアルを構成します。
ただ、一つ一つ理解していけば、必ず思い通りのものができるはずです。
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